日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第51回大会
セッションID: F29
会議情報

第4会場
無葉緑植物アキザキヤツシロランとクロヤツシロランの共生菌解明
*辻田 有紀橋本 季正遊川 知久馬田 英隆
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

ラン科オニノヤガラ属(Gastrodia)のアキザキヤツシロラン(G. confusa Honda et Tuyama)とクロヤツシロラン(G. pubilabiata Sawa)は,無葉緑ランで,炭素源を根状組織に内生する共生菌に依存すると推定される.本植物については,これまでTashimaら(1978)と馬田ら(2000)が,共生菌の単離と共生発芽に成功しているが,菌相の解明には至っていない.そこで,これら2種の共生菌相を,核リボソームDNAの28S及びITS領域の塩基配列をもとにした分子同定法を用いて調べた.  アキザキヤツシロラン3集団とクロヤツシロラン2集団について,共生菌が感染した根状組織からPCR増幅を行い,分子同定を行った.また,単離したペロトンの培養菌株についても分子同定を行い,以下のことが明らかになった.
1)アキザキヤツシロランとクロヤツシロランの共生菌は,どちらもキシメジ科(Tricholomataceae)のクヌギタケ属(Mycena)もしくはその近縁属と同定された.
2)2種のランでは共生菌相が異なり,両者は非常に狭い菌群と特異的に共生していた.
3)クロヤツシロランからは,クヌギタケ属に近縁な配列とともに他の担子菌類や子のう菌類の配列も検出されたことから,この種はクヌギタケ属と近縁な菌群に加え,それ以外の多様な菌群とも共生関係を持つことが示唆された.

著者関連情報
© 2007 日本菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top