日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第51回大会
セッションID: F38
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第4会場
ブナシメジ(Hypsizygus marmoreus)成分のがん細胞増殖抑制効果
*小畠 靖小堀 真珠子吉田 充亀山 眞由美
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抄録

 ブナシメジ(Hypsizygus marmoreus)は日本国内においてエノキタケに次ぐ生産量であり,日頃食する機会の多いきのこである.ブナシメジ子実体の人における機能性についてはいくつかの報告があり,抗腫瘍活性成分としてポリテルペンやエルゴステロールパーオキサイドなどが分離精製されている.現在栽培されているブナシメジは,野生菌株を育種材料として,交雑と選抜により育成されてきた栽培品種である.ブナシメジは前述のように抗腫瘍活性などの機能性を有することから,機能性発現に関わる成分の挙動や菌株による効果の差異が明らかとなれば,機能性を考慮した品種育成に繋がる.本研究では,機能性の高いブナシメジ栽培品種育成の可能性を検討するため,野生菌株のがん細胞増殖抑制効果を比較するとともに,アセトン抽出物を分画精製し有効成分の分離を試みた.
 奈良県内で採集したブナシメジ野生種28菌株および栽培品種2菌株をおがくず培地で栽培し,収穫後凍結乾燥した子実体からアセトン抽出物を調整した.これらのアセトン抽出物がHL60ヒト白血病細胞およびHT29ヒト大腸がん細胞の増殖におよぼす影響を調べた.この結果,両細胞に対する増殖抑制効果にはブナシメジ菌株間で差異が認められ,どちらの細胞に対しても高い増殖抑制効果を示す菌株が認められた.また、ブナシメジ栽培品種子実体のアセトン抽出物を水および酢酸エチルで分配した酢酸エチル画分をシリカゲルカラムで分画した.さらに,HL60細胞およびHT29細胞に対して増殖抑制効果の認められたフラクション6をHPLCで精製し,分子量354.28の化合物を単離した.この化合物の増殖抑制効果はHT29細胞に対しては弱かった.HL60細胞に対しては増殖抑制を示したものの,未精製物よりもその効果は低くなった.今回得られた化合物は,ブナシメジのがん細胞増殖抑制を示す主要成分ではないが,エルゴステロールパーオキサイドなどとともに複数の成分が,がん細胞に作用していると考えられる.

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© 2007 日本菌学会
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