日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第51回大会
セッションID: E11
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第3会場
日本でのBipolaris属新種2種およびCochliobolus属新産種1種
*月星 隆雄鍾  文鑫菅原 幸哉大久保 博人
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抄録

Bipolaris属1種は2002年に沖縄県石垣市および竹富町でチガヤ属(Imperata),チカラシバ属(Pennisetum),ヒゲシバ属(Chloris)植物およびギニアグラス(Panicum maximum)の褐色斑から分離した.分生子柄は明褐色~褐色,基部に目立たない膨らみがあり,90-251×5-8μm,分生胞子は淡褐色, 大型で長く,しばしば湾曲し,大きさ66-143×12-21μm,7-12偽隔壁をもつ.本菌はパールミレット,ネピアグラスおよびギニアグラスのごま葉枯病菌であり,B. sacchariに類似するが,分生胞子がより大型で,大きく湾曲する点が異なり,rDNA-ITS領域による分子系統からも新種と考えられる.もう1種は2002年に沖縄県名護市,2006年に同浦添市でウシノシッペイ属(Hemarthria)植物の灰褐色楕円斑から分離した.分生子柄は174-780×5-7μm,分生胞子は淡~濃オリーブ色,両端に向かって漸尖,大きく湾曲し,大きさ61-127×11-17μm,4-10偽隔壁をもつ.本菌はB. maydisに類似するが,分子系統で異なるクレードに属し,新種と考えられる.Cochliobolus属1種は2003年に鳥取市でバミューダグラス(Cynodon dactylon)の褐色斑から分離した.分生子柄は40-199×5-8μm、分生子は淡褐色~オリーブ褐色、強く屈曲し、55.0-102.2 x 11.5-22.4μm、5-7偽隔壁をもつ.分離菌は相互に交配して有性世代を形成し、偽子のう殻は黒色、亜球形、殻口100-125μm、高さ375-500μm、幅275-362.5μm,内部には無色、棍棒形、125-222.2 x 24.6-31.6μmの子のうを形成し,子のう内部には無色、糸状、140.9-195.4 x 4.0-7.1μmの子のうをらせん状に固く巻いて形成した.以上の形態および分子系統から、本菌をCochliobolus peregianensis Alcorn [B. peregianensis Alcorn]と同定した.本菌はバミューダグラス斑点病を引き起こし,日本新産種である.

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© 2007 日本菌学会
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