日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第55回大会
セッションID: A26
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九州に産するケシボウズタケ属菌について
*村上 康明砂田 洋一浅井 郁夫寺嶋 芳江
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抄録
従来日本にはケシボウズタケ属菌は4種が産するとされてきた(今関・本郷,1989).しかし調査が進むにつれ,多くの種が広範囲に分布していることがわかってきた(浅井,2004,2008,2009). 演者らは近年九州においてケシボウズタケ属菌の調査を始めたが,九州本土だけで5種が分布し,さらには沖縄県西表島にも産することを見いだしたので,それらの分類的特徴と今までにわかっている分布状況について報告する. 1,ナガエノホコリタケTulostoma fimbriatum var. campestre (Morgan) G. Moreno この種は日本新菌類図鑑_II_に「胞子は微イボを有する」と述べられ,スケッチが掲載されている.低倍率では微イボのように見えるが,光学顕微鏡の対物100xで観察すると微イボではなく,隆起した連絡脈を有する.大分県内に広く分布し,佐賀県,宮崎県にも見られる. 2,ウネミケシボウズタケTulostoma striatum G. Cunn.  胞子の表面にうね状の隆起があり,見分けやすい.大分県,宮崎県に分布する. 3,アバタケシボウズタケTulostoma adhaerens Lloyd  和名が示すように,頭部の表面に外皮の残滓があばた状に残るが,古くなるとほとんど平滑になり,他種との区別が困難になる.対物100xで検鏡すると,胞子表面にとがったイボ状突起が観察される.大分,宮崎,鹿児島,沖縄の各県に分布する. 引用文献:1)今関六也・本郷次雄(1989)原色日本菌類図鑑II,保育社,2)浅井郁夫(2004)日菌報 45:11-13,3)I. Asai(2008)Mycosceince 49:399,4)浅井郁夫(2009)菌蕈2009.5
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© 2011 日本菌学会
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