抄録
Na2O-TiO2P2O5系で多量のTiO2を含有するガラスを製造した.均一なガラスが得られた組成範囲は, Na2O : O~3 mol%, TiO2 : 66~74 mol%, P2O5 : 25~34mol%であった.リン酸塩ガラスへのTiO2の導入は, ガラスの性質の改善に極めて効果的であった.特に, 本研究で製造したガラスの熱膨張係数は, 室温から550℃までの範囲で, 2.4~2.9×10-6℃-1であった.この熱膨張係数の値は, P2O5を主成分として含有する他のすでに報告されているガラスの値よりも小さいものであった.これらのガラスを結晶化すると, Na2Oを含有しないガラスからは, (TiO) 2P2O7とTiP2O7が, またNa2Oを2 mol%含有するガラスからは, NaTi2 (PO4) 2, TiO2 および (TiO) 2P2O7が生成した.