Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan
Online ISSN : 2185-4378
ISSN-L : 1345-3769
カチオン性ポリマー存在下でのゼオライトYの合成
吉田 正人後藤 義昭
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2006 年 13 巻 324 号 p. 326-335

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抄録

カチオン性ポリマーであるポリ (ジアリルジメチルアソモニウムクロライド) を含有する水熱合成系からのゼオライトY合成を行い, 核生成および結晶化に及ぼすポリマー効果について反応条件を変化させ, 研究を行った.反応生成物中のゼオライト成分の同定と定量にはX線回折法を用いた.生成した結晶の表面形態, サイズおよび形状の変化をSEMを用いて研究した.ポリマー成分を含んだ結晶とアモルファス前駆体またはそのどちらかからなる生成物および600℃, 24h加熱処理し得られたか焼物の両者について詳細な観察を行った.反応メカニズムの解析を行い, 核生成と結晶化の見かけの活性化エネルギーを求めた.カチオン性ポリマー存在系では反応の後半段階に特徴的な現象, すなわち結晶化速度が急速に一定速度まで低下し, その速度が反応の終了まで維持されることが見出された.結晶化におけるポリマー効果は, 成長中の結晶表面上にあるカチオン性ポリマー鎖がアニオン性化学種からなる活性クラスターの結晶成長サイトへの拡散を抑制することであると推定した.

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