マイコトキシン
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Research Papers
シクロデキストリンポリマーのリンゴジュース中のパツリン分析への利用
白澤 隆史植田 基寛Michael APPEL後藤 哲久
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2013 年 63 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

 パツリン産生菌の一種である Penicillium expansum はリンゴ腐敗菌でもあり,リンゴおよびリンゴ製品におけるパツリン汚染の原因菌として知られている.リンゴジュース中のパツリンの分析法としては,酢酸エチルを用いた液液抽出後, HPLC-UV もしくは LC-MS を用いて分析する方法が広く用いられている.これまでの研究において,シクロデキストリンポリマーが様々な有機物の混在するリンゴジュース中においてパツリンを吸着することが示されている.本研究では,4,4'-methylenebis (phenyl isocyanate)をシクロデキストリンの架橋剤として用い合成したポリマーをリンゴジュース中のパツリンの固相抽出に利用することを検討した.固相カラムのコンディショニングに用いる溶媒,固相カラムへの分析試料の負荷容量,洗浄液の溶媒,溶離液の溶媒,容量を検討し,パツリン分析の最適化を行った.最適化した方法において,10,20,50,80,100 ng mL-1 のパツリン添加試料におけるパツリンの回収率(相対標準偏差)はそれぞれ 78(20)%,71(13)%,78(17)%,71(7.1)%,67(2.9)%であった.リンゴジュース中のパツリンの本分析法における定量下限(LOQ)は 10ng mL-1 であった.

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© 2013 日本マイコトキシン学会
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