2016 年 66 巻 2 号 p. 111-118
フザリウム属カビ毒汚染が確認されているトウモロコシ試料中からフモニシンC(FC)群の同時検出を試みた.検出には高分解能LC-MSを用い,精密質量によるスクリーニングを行った.FC群と予想されるピークはフモニシンB(FB)群のピークより0.1~0.3分早い保持時間で溶出され,FCがFBのC-1位のメチル基が外れた構造をとることによるものと考えられた.ネガティブイオンモードによる測定において,フモニシン構造に特徴的なトリカルバリル酸(TCA)イオンとTCAが脱離したフモニシンのフラグメントイオンを,各FCと同じ保持時間に検出した.また,各FCのフラグメンテーションのパターンが相当するFBのフラグメンテーションパターンと同様であることを確認した.本研究は,トウモロコシ試料中の自然汚染FC1,FC2およびFC3の同時検出としては初めての報告である.