マイコトキシン
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Research Papers
小規模酪農農家における飼料および飼料管理が牛乳中のアフラトキシンM1に与える影響
Wasana ChaisriWantanwa MongkonYoshiko Sugita-KonishiDirk Van DamIngrid HuntleyWitaya Suriyasathaporn
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2017 年 67 巻 2 号 p. 85-88

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抄録

 本研究は,飼料と農場の牛乳中AFM1汚染に関連する飼料管理因子を同定するために行った.全ての小規模酪農農家を対象に,2016年5月から6月の間に実施した.飼料と飼料管理のデータは集められた.大部分の農場では,粗飼料は草,干し草,とうもろこしを含む収穫後の農作物や,製粉後の外皮乾燥物(トウモロコシフスマ)や鞘と一緒に軸をゆでて乾燥させたもの(サイレージ)を含む地元のトウモロコシ工場からの副産物由来であった.市販の濃厚飼料は共同農場からの購入がほとんどであった.飼料管理因子は以下の項目を含む.市販濃厚飼料について:挽き割り粒子の有無,牛舎内への粗飼料パイルの保管:有無,粗飼料パイル表面へのかび付着:有無,牛乳中AFM1量はCharm EZ system(Charm sciences Inc., USA)を使用してCharm ROSA MRLAFMQ(Aflatoxin M1)Testにより測定した.Fisherのカイ二乗検定により,飼料と,AFM1汚染された飼料管理因子の交互作用を解析した.総計67農場のうち,最終分析できたのは50農場であった.サンプルの46%がAFM1に汚染されていることが結果から分かった.サイレージが使われている農場(62.5%)が,そうでない農場(30.8%)よりAFM1汚染率が有意に高かった.挽き割り粒子のある濃縮飼料が使われている農場(64.3%)でのAFM1汚染はP<0.01で挽き割り粒子なし(22.7%)よりも含有率が高かった.飼料管理について,牛舎内で(61.5%対29.2%)パイルとして保存されている粗飼料ではAFM1汚染含有率が高いのが特徴的であった.さらに,表面にかび付着があった粗飼料パイルは(60%対20%)AFM1汚染率が高かった(P=0.02).以上より,飼料と,飼料保管管理因子の両方が,牛乳中のAFM1汚染に関連していることが明らかとなった.

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© 2017 日本マイコトキシン学会
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