2018 年 68 巻 2 号 p. 89-92
近年のゲノム解析の進展により,糸状菌は多数のそして多様な二次代謝関連遺伝子を保有することが明らかになった.これらの遺伝子のほとんどは未解析であり,創薬リード化合物の探索源として魅力的な資源として注目を集めている.ゲノム情報が提供されることにより,遺伝子ベースの化合物探索や構造多様性創出が,これまでの化合物ベースの探索にとって代わるパラダイムシフトを引き起こしている.筆者らの研究も,網羅的遺伝子発現解析を頼りにしたアクティブな二次代謝遺伝子クラスターの同定や,近縁種間の比較ゲノム解析から二次代謝遺伝子の普遍性と多様性を明らかにすることを目指している.