マイコトキシン
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アスペルギルス等の有用醸造菌の利用について
-麹菌研究の新展開-
楠本 憲一
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2023 年 73 巻 2 号 p. 71-76

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抄録

 麹菌(ここでは黄麹菌と呼ばれるAspergillus oryzaeを中心に説明する)は日本醸造学会により我が国の「国菌」に認定された醸造用糸状菌であり,様々な伝統発酵食品の製造に使用されている.麹菌のゲノム解析結果が2005年末にNatureに掲載されて以降,麹菌に関する多様な研究が展開されている.麹菌のゲノム解析完了前後のそれぞれ20年間で,研究方針と内容が大きく変化した.筆者は,1986年に当時の農林水産省食品総合研究所に採用後,継続して麹菌を対象とした研究を実施してきた.現在,麹菌育種工学寄附講座を大阪大学大学院工学研究科内で運営しており,これまでの醸造研究に加えて生態学の発想も導入して研究活動を行っている.本講演では,筆者の37年間の研究内容を時系列で簡単に振り返って説明した後,現在取り組んでいる研究を紹介する.

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© 2023 日本マイコトキシン学会
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