マイコトキシン
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Anthraquinoneマイコトキシンによるミトコンドリア呼吸阻害作用:水酸基の位置と除共役作用との関係
河合 清石崎 希代子久田 和夫中丸 輝彦野澤 義則
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1987 年 1987 巻 26 号 p. 43-46

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抄録

Emodinおよびskyrin (Penicillium islandicumより), averufinおよびversicolorin A, B (Aspergillus versicolor より)などのanthraquinone化合物は単離ラット肝ミトコンドリアの酸化的リン酸化反応を除共役し,ATPの生合成を著しく阻害する.これらのanthraquinone化合物は共通して水酸基の1個がβ-位に位置し,その水酸基がO-methyl化された誘導体や水酸基を持たないもの(chrysophanol, deoxyversicolorin Aなど)では除共役作用が極めて弱い.Anthraquinone核上の水酸基の位置と除共役作用との関係について1-hydroxyanthraquinone, 1,2-dihydroxy-, 1,4-dihydroxy-, 1,5-dihydroxy-および1,8-dihydroxyanthraquinones(Fig.1)を用いて比較検討した結果,β-位に水酸基をもつ1,2-dihydroxyanthraquinone(alizarin)のみが強い除共役作用を示し,その他の化合物は極めて弱い作用しか示さなかった.このことはanthraquinone核上のβ-位に水酸基を持つもののみが強力な除共役作用を示すことを示唆している.しかし,最近,β-位の代りにγ-位に水酸基を有するerythroglaucin(4-hydroxyphyscion)(Fig.1)が除共役作用を有することが報告され,β-位と同様にγ-位に水酸基を有するpolyhydroxyanthraquinoneも除共役作用を有することが強く示唆された.このことを確認する目的でislandicinおよびiridoskyrin (from P. islandicum)(Fig.1)について除共役作用を検討した.その結果,両化合物とも,かなり高濃度でも除共役作用を示さないことが判明した.

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