日本内科学会雑誌
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II.診療の進歩
6.Crohn病
久松 理一日比 紀文
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2011 年 100 巻 1 号 p. 85-95

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抄録

ヒトゲノム解析が進みCrohn病の病態には多くの疾患感受性遺伝子が関与していることが明らかとなり,特に自然免疫応答の制御異常が注目されている.Crohn病病態において局所の免疫異常の中心的サイトカインと考えられているTNFαに対する抗体製剤(インフリキシマブ,商品名:レミケード®)の保険承認はこれまで永らく変化のなかったCrohn病治療体系に大きなインパクトと変革をもたらした.またCT(computed tomography),MRI(magnetic resonance imaging)の進歩や小腸鏡の開発などによりわれわれの知り得る情報は飛躍的に増加している.また小腸鏡を用いたバルーン拡張術はこれまで手術に頼っていた狭窄病変に対する内視鏡治療として期待されている.このように診療面において大きな進歩があったCrohn病であるが同時に各治療法の適応や副作用マネージメント,高騰する医療費など新たな問題も明らかとなってきている.

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© 2011 一般社団法人 日本内科学会
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