日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
多剤耐性菌の細菌学と臨床対応~多剤耐性緑膿菌,多剤耐性アシネトバクター,NDM-1産生菌を中心に~
松本 哲哉
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2011 年 100 巻 10 号 p. 3072-3078

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抄録

耐性菌をとりまく状況は時代とともに変化している.多剤耐性アシネトバクターによる院内感染例や,NDM-1産生菌およびKPC産生菌など国内初の報告例が注目を集めた.これらの多剤耐性菌はコリスチンやチゲサイクリンなどの抗菌薬のみが有効である.また耐性菌は国や地域によっても広がりに大きな差があり,MRSAを除く耐性菌は諸外国,特にアジア各国を中心に拡大傾向にあり深刻な状況となっている.さらに赤痢菌やコレラ菌など強毒菌においても多剤耐性菌が報告されており,今後の拡大が危惧される.多剤耐性菌は何の症状も示さない保菌者も存在し,細菌検査を実施しなければその存在は確認できない.また,耐性菌が院内で伝播すると,院内感染として医療機関は徹底した対策が求められ,大きな犠牲を払わなければならなくなる.耐性菌に対する対策として抗菌薬の適正使用や感染予防策の徹底が重要であり,地道に対策を継続していく必要がある.

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© 2011 一般社団法人 日本内科学会
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