日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
高安動脈炎
磯部 光章
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2013 年 102 巻 4 号 p. 986-993

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抄録

高安病は大半が若い女性が罹患する疾患であり,症状が非特異的であるため,長く診断されずに経過することが多い.大動脈とその分枝に狭窄,閉塞が生じ臨床症状を呈する大型血管炎である.脳虚血発作や大動脈弁閉鎖不全,大動脈瘤,心不全,失明,腎不全など重篤な合併症が知られている.最近は画像診断の進歩で早期発見が可能となった.特にMRA,CTによる閉塞,狭窄の診断が有用である.炎症の局在診断にはFDG-PET/CTが感度,特異度とも高い.治療には副腎皮質ホルモンが使われるが,過半数はステロイド抵抗性であり,免疫抑制薬を使用するケースが増えている.難治例には新しい生物学的製剤の使用も報告されている.診断・治療の進歩により予後は格段に改善し,主要血管の閉塞例や失明,透析などの症例は減っている.血管内治療,特にステント治療は再狭窄率が高率であり,その有効性は確立していない.以前に増して早期診断・早期治療が重要となってきている.

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© 2013 一般社団法人 日本内科学会
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