日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
糖尿病における新規治療薬SGLT阻害薬
杉本 俊郎柏木 厚典
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2013 年 102 巻 6 号 p. 1474-1483

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抄録

腎臓の近位尿細管に特異的に発現しているsodium-glucose co-transporter(SGLT)2は,腎臓におけるグルコースの再吸収の90%以上に関与していることが知られている.最近このglucose transporterを阻害するSGLT2阻害薬が,新規糖尿病薬として注目を集めている.SGLT2阻害薬は,腎臓での尿糖排泄を増加させることにより,理論上低血糖を起こさずに高血糖を改善し,長期的には膵臓β細胞機能やインスリン抵抗性を改善することが期待されている.実際,2型糖尿病患者を対象とした臨床試験において,血糖管理の改善のみならず,体重減少,血圧低下等のリスクファクターの改善効果も示された.副作用としては,尿路感染症,女性性器感染症,外陰部搔痒症が報告されているが,いずれも軽症である.これらSGLT2阻害薬は,インスリン分泌やインスリン作用に依存しないそのユニークな作用機序から,単独だけでなく他の経口血糖降下薬との併用効果も期待できる.今後我国でも使用される可能性が高い新規糖尿病薬の一つと考えられる.

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