高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)では,脳血管障害慢性期の降圧目標は原則140/90 mmHg未満であるが,ラクナ梗塞,脳出血,くも膜下出血ではさらに可能であれば130/80 mmHg未満を目指すとされている.冠動脈疾患の降圧目標は心筋梗塞後を含めて原則140/90 mmHg未満と改訂されたが,糖尿病,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や脂質異常症・喫煙・家族歴などのリスク重積例では可能であれば130/80 mmHg未満を目指すとされている.抗血栓薬服用患者では頭蓋内出血のリスク軽減のため,130/80 mmHg未満を目指すことが望ましい.心筋梗塞後や収縮機能障害による心不全には降圧が主目的ではなく,心リモデリング・心不全予防,生命予後改善のため,レニン―アンジオテンシン(renin-angiotensin:RA)系阻害薬,β遮断薬,抗アルドステロン薬を投与する.