2016 年 105 巻 12 号 p. 2330-2335
医療サービスの効率性を考える際に重要な点は費用対効果の考え方である.諸外国においては,費用対効果の評価を政策に応用する仕組みが取り入れられているところも増えてきており,日本でも2016年度から医薬品・医療機器の費用対効果評価の試行的導入が開始された.既収載の医薬品・医療機器から選定されたものについて評価を行い,償還価格の調整に用いられる予定である.試行的導入においては保険収載の可否の判断に用いられないため,臨床現場での治療には大きな影響はないものと考えられるが,今後,公的医療保険制度の維持に向けて効率的な医療提供が求められるため,費用対効果の評価は重要になるものと思われる.