2016 年 105 巻 6 号 p. 1026-1033
B型慢性肝炎に対し,ラミブジン(lamivudine:LAM)投与が開始されたが,耐性株出現のためアデホビル(adefovir dipivoxil:ADV)を追加された.その後,脆弱性骨折を繰り返し,腎性尿糖,低カリウム血症,低尿酸血症,低リン血症,汎アミノ酸尿,高ALP血症などの所見から,アデホビルによる薬剤性Fanconi症候群と診断した.アデホビルを中止しエンテカビル(entecavir:ETV)へ変更したところ,各検査所見は改善傾向を示した.Fanconi症候群はあらゆる薬剤で起こる可能性があり,最も注意すべき副作用の1つである.