2016 年 105 巻 7 号 p. 1267-1274
手指膿瘍に起因し,集学的治療に反応せず急速な転帰をたどった劇症型溶血性連鎖球菌感染症(Streptococcal toxic shock syndrome:STSS)の1剖検例を経験した.STSSは小児,妊婦にも発症し得るが,多くは併存症がなく,免疫不全のない健常者に認められる.集中治療の発達した今日においても死亡率が3割近い重篤な疾患であり,さらに近年急速な増加傾向を示している.発症すれば進行が早く,予後も不良であるために,早期の診断,早期の集学的治療が必要である.