日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
血管内皮機能研究の進化
諸岡 俊文野出 孝一
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2017 年 106 巻 4 号 p. 850-856

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抄録

血管内皮細胞は,血流と直に接し,血球成分や種々の生理活性物質と連携して生体にとり最適な反応を引き起こすという大事な役割を担っている.一方で,高血圧や高血糖などにより内皮細胞が障害を受けると正常血管機能が破綻し,動脈硬化の進展,不安定プラークの形成,大血管障害の発生に関与する.このため,より早期に内皮機能障害を知ることはイベント発生の予防と予後予測が可能であると考えられ,多くの基礎研究や臨床試験により,内皮細胞で起こる現象や病態の解明が進むことでエビデンスの蓄積が実現した.それに伴い,内皮機能検査の方法や手技が進化し,検査機器も発展し,進化した.こうして,血管内皮機能検査は2012年より,保険適用を獲得した.ここでは,汎用されるプレチスモグラフィー,FMD(flow mediated dilation,血流依存性血管拡張反応),RH-PAT(reactive hyperemia peripheral arterial tonometry),各種バイオマーカーも含めて説明し,各種病態でのエビデンスレベルについて言及していく.

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© 2017 一般社団法人 日本内科学会
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