日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
腎疾患進行防御機構としてのオートファジー
猪阪 善隆山本 毅士難波 倫子高橋 篤史木村 友則高畠 義嗣
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2017 年 106 巻 6 号 p. 1206-1211

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抄録

オートファジーは飢餓時のエネルギーやアミノ酸などの供給だけでなく,不要な蛋白や障害を受けた細胞内小器官を消化することにより,細胞の恒常性維持にも関与する.さらに,虚血再灌流障害や薬剤性腎障害において,障害されたミトコンドリアなどの細胞内小器官や変性蛋白を消化することにより,尿細管細胞の保護にも関与している.オートファジーは飢餓などにより誘導され,非特異的に蛋白などを消化すると考えられてきたが,肥満や脂質異常,高尿酸血症など,過栄養の状態においても,消化すべき変性蛋白や異常ミトコンドリアなどが尿細管細胞で増加するために,定常状態のオートファジー活性は上昇している.しかし,このような状態が持続すると,オートファジー・リソソーム系の停滞が起こり,ストレス時におけるオートファジー活性亢進が障害され,オートファジーによる腎保護作用が働かず,腎障害が進展する.

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