2018 年 107 巻 2 号 p. 276-283
症例は87歳,男性.1カ月前からの乾性咳嗽,呼吸困難を主訴に受診した.膵体部腫瘍,腹腔内リンパ節・肝・肺・右胸膜・左腎転移を疑う所見を認め,経皮的右胸膜生検により,膵腺房細胞癌の診断に至った.また,4,000/μl台の好酸球増多を認め,血清GM-CSF(granulocyte-macrophage colony-stimulating factor)の高値とGM-CSFの免疫組織化学染色陽性からGM-CSF産生腫瘍と診断した.本症例において,病勢の進行が早く好酸球増多を伴う点は,GM-CSF産生腫瘍の典型像に合致すると考えられた.