日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
肺非結核性抗酸菌症の最前線
菊地 利明坂上 拓郎茂呂 寛
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2018 年 107 巻 2 号 p. 292-297

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抄録

本邦における肺非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria:NTM)症のほとんどは,Mycobacterium avium complex(MAC)による肺MAC症である.肺MAC症は,大きく線維空洞型と結節・気管支拡張型の2つの病型に分けられる.この他,全身性播種型や過敏性肺炎型といった特殊病型も知られている.近年,本邦で患者数増加を指摘されているのは,結節・気管支拡張型の肺MAC症で,中高年の非喫煙女性に好発する.肺MAC症の診断には,胸部画像所見の臨床的基準と,「2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性」を基本とする細菌学的基準があり,この2つの基準を満たすことで肺MAC症と診断する1).治療の基本は,クラリスロマイシンを主薬とする多剤併用の化学療法である.しかし,化学療法後の再発も決して稀ではないことから,化学療法に加え,菌の散布源となる肺主病巣を切除する外科治療も集学的に行うことが提案されている.

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