日本内科学会雑誌
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今月の症例
胆管炎との鑑別が困難であった家族性地中海熱(FMF)非典型例の1例
乾 航岩泉 守哉魚谷 貴洋山出 美穂子濱屋 寧谷 伸也大澤 恵古田 隆久杉本 健宮嶋 裕明
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2020 年 109 巻 5 号 p. 968-973

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抄録

症例は30歳代,男性.右上腹部痛を主訴にA病院を受診した.画像検査では明らかな異常所見は認められなかったが,血液検査では胆道系酵素高値と炎症反応高値のため,急性胆管炎を疑われた.しかし,臨床症状の改善が乏しく,当院へ転院となった.深呼吸時の疼痛悪化等から,家族性地中海熱(familial Mediterranean fever:FMF)も鑑別に挙げてコルヒチンの投与を開始したところ,症状・炎症反応は改善を認めた.確定診断目的に遺伝子診断を施行し,MEFV L110P-E148Qのヘテロ変異を認めたため,FMF非典型例と診断した.原因不明の発熱や鎮痛薬に抵抗性の腹痛を認めた場合は,FMFを念頭に置き,診断・治療にあたるべきである.

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© 2020 一般社団法人 日本内科学会
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