2021 年 110 巻 5 号 p. 981-988
62歳,男性.アルコール性肝硬変,門脈血栓症に対してダビガトランを約5年間内服していた.来院2週前より肉眼的血尿,1週前より間欠熱・労作時の息切れが出現し,採血で著明な腎機能障害と胸部CT(computed tomography)でびまん性のすりガラス影を認めた.膠原病・血管炎や感染症と鑑別を要したが,腎生検にて抗凝固薬関連腎症(anticoagulant-related nephropathy:ARN),臨床所見から肺胞出血と診断した.抗凝固薬を内服中の患者の肺腎症候群では,ARN及び肺胞出血を疑う必要がある.