日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
高齢入院患者に対する栄養サポートの重要性
前田 圭介
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2021 年 110 巻 6 号 p. 1184-1192

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抄録

高齢者人口の増加は,今後の入院医療の在り方に変革を求めている.多病高齢者に対する多面的包括的な評価と介入が注目されていると同時に,入院高齢者の低栄養に対するアプローチも重要視され始めた.入院高齢者の4分の1は低栄養である.しかしながら,低栄養は見逃され,適切な栄養サポートが入院当初から実施されていない懸念がある.従来,栄養サポートチームは栄養不良の対応に主治医が窮したときのコンサルテーションの受け皿であった.人工栄養の導入や管理を専門とする多職種チームとして発足した栄養サポートチームであるが,デバイスや利用可能な栄養剤が充実した近年では,従来型の栄養サポートだけでは介入効果が得られにくい.入院時に低栄養スクリーニングを徹底し,栄養アセスメントと低栄養診断を組織だって実施する体制,及びそれを支援する栄養サポートシステムが必要である.低栄養診断はGlobal leadership Initiative on Malnutritionの基準を用いることが薦められる.栄養状態に応じて入院当初から個別に栄養ゴールを定め,食事の工夫(食事強化と経口栄養補助)を中心に介入することにエビデンスがある.

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