日本内科学会雑誌
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II.各論:慢性心不全の治療薬 4.β遮断薬とイバブラジン
波多野 将
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2022 年 111 巻 2 号 p. 241-247

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抄録

イバブラジンは心臓の洞結節に発現するhyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated(HCN)-4チャネルの阻害薬であり,心臓ペースメーカー電流の過分極活性化陽イオン電流を抑制して活動電位の拡張期脱分極相における立ち上がり時間を遅延させ,心拍数(heart rate:HR)を減少させる.この薬剤の登場により,「HRを低下させる」ことが心不全の新たな治療ターゲットとなり,HRを低下させることが予後の改善につながることを示した研究の結果が次々と報告された.同じくHRを低下させる薬剤としてβ遮断薬があるが,イバブラジンが適応となるのは原則β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者であって,洞調律かつ投与開始時の安静時HRが75回/分以上の慢性心不全の患者である.しかし,β遮断薬に対する忍容性がない,禁忌である等,β遮断薬が使用できない,あるいは低用量からなかなか増量できない患者にも投与することができる.実臨床においては,一見β遮断薬に対する忍容性がない/低いと思われる患者に対して早めにイバブラジンを導入することが,結果としてβ遮断薬の忍容性を高めることにつながることもしばしばある.

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