2006 年 95 巻 4 号 p. 763-769
クリプトコッカスは, エイズに合併する重要な日和見病原真菌である. 近年, 貪食細胞からのエスケープ機構を備えていることが明らかとなり, 現在は細胞内増殖菌と考えられている. その感染防御は主に細胞性免疫によって担われており, Th1関連サイトカインであるIFN-γやIL-12が中心的な役割を演ずる. また, 自然免疫リンパ球であるNKT細胞とγδT細胞が本真菌に対する防御免疫を拮抗的に制御することも明らかになってきた. マウスモデルを用いた実験的クリプトコッカス症では, Th1関連サイトカインが治療的有効性を有することが示された. 近年では, エイズに合併する難治性クリプトコッカス髄膜炎症例を対象にIFN-γ治療の臨床試験が実施され, その有用性が報告されている. 本稿では, クリプトコッカス症を中心に, その病因解明への免疫学的アプローチと, そこで得られた新知見の臨床への展開について, 現時点での状況を概説する.