2006 年 95 巻 6 号 p. 1106-1108
54歳, 女性. 慢性甲状腺炎が既往にあり, 多発性硬化症 (MS) の経過中に緩徐進行性インスリン依存性糖尿病 (SPIDDM) が診断され, 抗GAD抗体価, 抗膵島細胞抗体 (ICA) 価の高値, 著しい上昇を認めた. 本例は, MSの一病像として, 自己免疫性1型糖尿病が発症しうることが示された本邦, 最初の症例で, 更に, Th1優位の臓器特異的自己免疫疾患を合併した耐糖能障害の成因としてSPIDDMが示された貴重な症例であると考えられた.