2006 年 95 巻 7 号 p. 1268-1273
辺縁系脳炎は統合失調症に似た精神症状で発症する. 著者らは辺縁系脳炎を原因別に1) 傍腫瘍性 2) ウイルス性 3) 自己免疫疾患性 4) 自己抗体介在性 5) 原因不明に分類した. 診断は, 臨床症状, 髄液検査, 画像診断から行い, 傍腫瘍性であれば抗神経抗体の測定, ウイルス性であれば各種PCRや抗体測定を, 自己免疫疾患であれば各種の抗体を測定し, 自己抗体介在性であれば抗グルタミン酸受容体抗体を測定する. 治療は, それぞれの基礎疾患の治療に加え, 自己免疫疾患性や抗体介在性であればステロイド・パルスや免疫グロブリン大量療法, 血漿交換等の抗免疫療法が有効である.