2006 年 95 巻 7 号 p. 1359-1361
症例は61歳, 男性. 数日間の連続飲酒の後, 激しい腹痛, 嘔吐が出現した. 動脈血ガス分析でpH6.735, HCO3-0.9と著明な代謝性アシドーシスを認め, 尿糖陰性, 尿ケトン陽性, アニオンギャップ (AG) 51.1mEq/Lと開大しておりアルコール性ケトアシドーシス (AKA) と診断, 大量補液など保存的治療によりアシドーシス, 腹痛ともに速やかに改善した. AKAは大酒家の連続飲酒に飢餓, 脱水が加わり発症する代謝異常であるが, 臨床現場における本疾患についての認識は必ずしも高くなく, 注意を要する.