日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
消化管内視鏡検査・治療における医療事故とその安全対策 (厚生労働省研究データ)
名越 澄子藤原 研司
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2006 年 95 巻 7 号 p. 1387-1393

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抄録

消化管内視鏡検査・治療に関連する医療事故調査を基に, その原因を分析し安全対策を検討した. 60歳以上の症例が約7割を占め, それも内視鏡的粘膜切除術, 内視鏡的粘膜下層剥離術及び膵胆管系内視鏡検査・治療で起る事故例が多かった. 予防策として, 施設内で高齢者や腸管の癒着, 脆弱性及び合併症など患者側情報の収集を徹底し, 適応を慎重に検討し, 安全な検査・治療法を選択するような体制づくりが最も重要と考えられた. 技術に関連して起る事故は, 教育・指導体制の強化や事故防止に向けた手技毎の指針作成により発生頻度を減らすことが可能であるが, 術者の判断の誤りや不注意では, 経験を共有することによる自己研鑽が必要と思われた. 慎重な手技操作にも拘らず発生する医療事故も多く, 書面による十分なインフォームドコンセントと事故発生直後の患者への適切な対応が望まれる.

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© 2006 一般社団法人 日本内科学会
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