日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
医学と医療の最前線
原発性アルドステロン症の診断基準
西川 哲男齋藤 淳大村 昌夫
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 96 巻 11 号 p. 2539-2545

詳細
抄録

最近の疫学試験にて,高血圧に占める原発性アルドステロン症(PA)の頻度は5~10%と報告され,決して稀な疾患ではないものと考えられている.PAは外科的処置にて治癒が期待される疾患でありその鑑別は治療法の選択の上で重要となる.一方,本邦でのPA診断基準は確立されていない.そこで,日本内分泌学会並びに厚生労働省“副腎ホルモン産生異常に関する調査研究(藤枝班)”の要請にて全国から新進気鋭の研究者をメンバーとしてアルドステロン症検討委員会が平成18年4月に設立された.最初に,PAのスクリーニング法に関して検討を行い以下の提案を行った.(1)プライマリースクリーニングを行うことが重要であるので,対象は高血圧患者全例とする.(2)方法は座位にて血漿レニン活性(PRA:ng/ml/hr)・血中アルドステロン濃度(PAC:ng/dl)を同時測定する.(3)PAのスクリーニング診断基準(カットオフ値)はPAC/PRA比(aldosterone-renin ratio:ARR)>20とする.(4)治療中の症例に関しては,降圧薬を2週間Ca拮抗薬(+α遮断薬)のみに変更して採血を行い,同様の診断基準を用いる.PAスクリーニング法の検討の際に,診断確定法・対象患者が論文ごとに異なっているが,本検討委員会ではPAのスクリーニング法としてARR>20がガイドラインとして広く高血圧診療に用いられるものと考えられた.さらに,アルドステロンの自律性分泌を明らかにする上で各種負荷試験を行い副腎静脈サンプリングあるいは,CTにて局在診断を行う.

著者関連情報
© 2007 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top