2007 年 96 巻 2 号 p. 220-225
大腸癌の発生母地として,メチレンブルーに濃染する微小病変であるaberrant crypt foci(以下ACF)が注目されている.われわれはこれまで,拡大内視鏡を用いて,ヒトACFを観察し,ACF(特にdysplastic ACF)が腺腫の前病変であることを指摘した.ACFではK-ras変異が高率に認められ,細胞増殖活性ならびにアポトーシス抵抗性が亢進している.ACFを内視鏡的に観察することは,大腸癌の高危険群の絞り込みや癌予防の臨床試験に有用である.