日本内科学会雑誌
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III.低リン血症・骨軟化症
5.ビタミンD欠乏症とビタミンD不足
岡崎 亮
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2007 年 96 巻 4 号 p. 742-747

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抄録

ビタミンD充足度の最良の指標は血中25(OH)D濃度である.現在,基準値は,概ね10~70ng/mlである.通常,25(OH)D濃度が基準値以下の場合を,ビタミンD欠乏症とし,くる病・骨軟化症の原因となる病態である.近年,血中25(OH)D濃度が基準値範囲内でも低値傾向を示す場合,高率に副甲状腺ホルモン分泌の亢進,骨代謝回転の増加,転倒頻度の増加などがもたらされることが明らかになった.このような状態を,ビタミンD不足と呼ぶ.我々は,少なくとも血中25(OH)D濃度が,25ng/ml以上なければ,ビタミンD充足状態とは言えないと考えている.ビタミンD不足を回避するためには,日光曝露が重要だが,それが困難な場合には,現行のビタミンD摂取基準量(200 単位/日)では不十分であり,少なくとも400 単位/日の摂取が望まれる.

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© 2007 一般社団法人 日本内科学会
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