2007 年 96 巻 6 号 p. 1195-1198
症例は60歳,男性.高血圧を検診で指摘され来院.高血圧170/80mmHgと軽度の大動脈弁閉鎖不全(Ar)を認め,アンジオテンシン受容体阻害薬(ARB,オルメサルタン20mg)投与開始した.投与後16日目で血圧140/64mmHg,採血上は腎機能正常であり定期投与とした.経過良好であったが,87日目に全身倦怠感で来院,急性腎不全を認め緊急入院となった.腎不全は薬剤中止と輸液により速やかに回復した.画像検査にて馬蹄腎が判明した.回復後の腎臓レノシンチはほぼ正常範囲.腎動脈造影では有意な腎動脈狭窄は認めないものの腎動脈本幹径は,正常成人の平均5mmに比し,2mmと細かった.ARB投与で腎不全となった馬蹄腎の報告例はなく注意喚起のため報告をする.