日本内科学会雑誌
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V.肝炎ウイルスの持続感染と肝発癌
1.ウイルス性肝炎に伴う肝発癌のメカニズム
本多 政夫金子 周一
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2008 年 97 巻 1 号 p. 82-91

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抄録

我が国の肝細胞癌は慢性肝炎,それも肝硬変のような進行した肝病変を発生母地とすることが大半であり,その成因の90%がウイルス性慢性肝炎である.ウイルス学的には全く異なるB型肝炎ウイルス(HBV)及びC型肝炎ウイルス(HCV)は同じように慢性肝炎·肝硬変,更には肝細胞癌を引き起こす.病理学的には両肝炎の差異は認め難いものの,cDNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析による分子生物学的手法により両肝炎に起こる細胞内情報伝達機構の違いが明らかとなった.B型及びC型慢性肝炎から肝発癌への臨床像も多数症例の経験より明らかになっている.慢性肝炎から肝発癌へ至る分子機序を明らかにすることによって,肝疾患治療の新たなストラテジーの構築が可能になる.

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© 2008 一般社団法人 日本内科学会
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