日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
膵嚢胞性病変の診断と治療
須山 正文
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2008 年 97 巻 12 号 p. 3060-3065

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抄録

膵嚢胞性疾患について概説した.膵嚢胞性疾患は仮性嚢胞に代表される炎症性嚢胞と悪性化する可能性を有する粘液性嚢胞腺腫(MCN),漿液性嚢胞腺腫(SCN),solid-pseudopapillary tumor(SPT)が知られている.また,膵管内乳頭腫瘍(IPMN)のうち分枝拡張型は鑑別が必要である.典型例は画像診断で鑑別が可能である.画像診断では横断画像が主体をなし,体外式超音波(US)・CTなどで拾い上げられ,CT・MRI・超音波内視鏡(EUS)で鑑別診断がなされる.たとえばEUSは空間分解能に優れUSでは高エコーとして描出される小嚢胞も嚢胞として描出することが可能でSCNの診断に適している.治療はMCNでは切除術が行われ,SCNやSPTなどはslow growingであるため経過観察が妥当と考えられる.しかし転移例の報告もあり,注意深く経過をみることが大切である.また,分枝型IPMNの手術適応については結節を有すること,大きな嚢胞径などが上げられているが,まだconsensusを得るまでには至っていない.

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© 2008 一般社団法人 日本内科学会
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