日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
増加する中皮腫の診療と対策
中野 孝司
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2008 年 97 巻 5 号 p. 1090-1097

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抄録

中皮腫は治療に抵抗する極めて悪性の腫瘍であり,20世紀後半の大量のアスベスト消費を原因として,世界的に急増し,我が国の患者数は2006年に1,000人を超えている.胸膜,腹膜,心膜,および,極めて稀に精巣鞘膜に発生し,上皮型,肉腫型,二相型の3組織亜型がある.肉腫型の予後が最も悪い.腹膜中皮腫は胸膜中皮腫と異なり,女性の比率が高く,低悪性度の組織亜型も存在する.早期の胸膜中皮腫に胸膜肺全摘術が行われるが,局所再発率が高い.中皮腫化学療法は悲観的であったが,新規葉酸拮抗薬とシスプラチンとの併用で生存期間が有意に延長することが示され,新たな治療戦略が生まれている.従来,中皮腫はアスベストを扱う職域に発生する職業関連腫瘍と捉えられてきたが,一般環境の低濃度曝露での発生も知られるようになり,一般住民を対象にアスベスト検診が行われている.

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© 2008 一般社団法人 日本内科学会
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