日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
造血幹細胞制御と白血病
黒川 峰夫
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2008 年 97 巻 5 号 p. 1098-1104

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抄録

造血系では造血幹細胞からあらゆる成熟血球が秩序だって産み出される.造血幹細胞について自己複製,増殖,分化,局在など,さまざまな動態が知られるようになり,造血系は個体レベルで最も解析の進んだ幹細胞システムの一つとなっている.造血幹細胞の局在する場をニッチとよぶが,最近になってニッチの実態解明が大きく進んだ.造血幹細胞を制御する分子機構は多岐にわたるが,なかでもニッチにおけるシグナルと,遺伝子発現を制御する転写因子に関して,多くの鍵分子の同定がなされている.さらに造血幹細胞制御に関わる転写因子の中には,その異常が白血病発症と深く関わるものがある.これらの知見は,白血病発症に関する理解を深めるとともに,白血病幹細胞の動態解明にも大きく貢献している.本稿ではこれらのテーマについて最近の成果を紹介するとともに,転写因子の例としてAML1を取り上げ,幹細胞制御と腫瘍発症の関係について考察する.

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© 2008 一般社団法人 日本内科学会
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