2008 年 97 巻 5 号 p. 913-920
末期腎不全による透析患者の世界的な増加から慢性腎臓病(chronic kidney disease,CKD)の疾患概念が提唱され,その早期発見と治療が早急な課題となっている.CKDの定義の一項目としての腎障害は,事実上検尿異常のなかでも蛋白尿の存在と同義語であり,蛋白尿は腎機能低下の危険因子であるだけでなく心血管疾患の発症の危険因子である.尿検査は簡便で安価であり,検尿異常の存在とその異常の種類(蛋白尿単独,血蛋白尿など),尿蛋白排泄量やその経過は,腎臓病の原因を知る上での基本的アプローチとしてきわめて重要である.