2008 年 97 巻 7 号 p. 1553-1560
近年,悪性リンパ腫の細胞表面マーカー検索の一手法としてフローサイトメトリーが実用化され,病理組織切片を使用した免疫組織化学と併用した免疫学的表現型検索が広まりつつある.免疫組織化学ではマーカーの存在を顕微鏡下で確認できるのに対し,フローサイトメトリーで得られる電気的なシグナル情報をもとにした百分率値だけでは判定や評価が困難なこともある.そのため,フローサイトメトリーによってリンパ腫細胞の帰属を決定して診断に役立てるには「二重染色の展開図を読んで異常細胞群を見出す」という読図作業が不可欠であり,検出の効率性と診断精度の向上を求めた工夫が図られている.