日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
HIV感染と神経合併症
中川 正法
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2008 年 97 巻 7 号 p. 1690-1696

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抄録

HIV感染症は,高活性抗レトロウイルス療法(HAART)により「死に至る病い」から「コントロール可能な慢性疾患」へと変貌した.HAARTによりエイズ脳症を含む神経合併症(neuroAIDS)の頻度は著明に低下したが,免疫再構築症候群,薬剤耐性例での日和見感染,薬剤関連末梢神経障害,脳血管障害などが増加しており,その病態の解明・治療戦略が今後の重要な課題である.世界的にはHIV感染者数・AIDS患者数ともに頭打ち傾向にある中で,わが国ではHIV感染者・AIDS患者数は年々増加している.神経症状がないHIV感染者でも比較的初期より脳血流が低下しており,今後,神経内科医,感染症科医,臨床心理士,神経病理医などとの学際的な協力のもとHIV感染者を感染早期より長期間フォローアップする体制が必要である.

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© 2008 一般社団法人 日本内科学会
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