日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
閉塞性細気管支炎の現状
長谷川 好規
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2008 年 97 巻 8 号 p. 1895-1899

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抄録

閉塞性細気管支炎は,特発性もしくは様々な原因により末梢気道である細気管支領域の不可逆的閉塞をきたすことにより呼吸不全を呈する疾患である.稀な疾患と考えられていたが,骨髄移植や心肺移植などの移植医療に伴う閉塞性細気管支炎の合併が報告され,新たに注目を集めている.病因は不明であるが,免疫学的気道炎症を背景に,感染性や非感染性の上皮傷害が閉塞性細気管支炎発症に関与すると考えられている.診断は一般に困難であるが,移植患者における早期病変を見つけるためには,肺機能検査が有用と考えられている.確立された治療法はなく,治療の目標は,細気管支での炎症を抑制し安定した状態に保つことである.今後,国内においても移植そのものが増加して行くことが予想されるが,移植に伴う肺合併症としての閉塞性細気管支炎の発症は増加すると考えられる.

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© 2008 一般社団法人 日本内科学会
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