日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
VI.HIV感染症の合併症
2.HIVと肝炎ウイルスとの重複感染症
四柳 宏小池 和彦
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 98 巻 11 号 p. 2822-2826

詳細
抄録

HIVに感染した症例の6%がHBVに,20%がHCVに感染している.肝炎の治療方針はHBVあるいはHCVの単独感染でも,HIVとの重感染でも同様である.HBVとの重複感染では,抗HBV作用を有する核酸アナログに抗HIV作用があるため,核酸アナログの単独療法が難しいことが最大の問題点である.HCVとの重複感染では,肝線維化の進展がHCV単独感染よりも速いのにもかかわらず,抗ウイルス療法の効果が低いことが最大の問題点である.HIV感染症の予後は,抗レトロウイルス療法や日和見感染に対する治療の進歩により,合併するウイルス肝炎のコントロールに左右されるようになってきた.HIV感染症に合併するウイルス肝炎は通常のウイルス肝炎と異なる点がいくつかあり,その点を理解しておくことが大切である.

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top