日本内科学会雑誌
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今月の症例
半月体形成性糸球体腎炎を発症した関節リウマチの1例
工藤 立史橋本 整司佐々木 洋彰中垣 祐眞岡 知央石川 康暢西尾 妙織望月 俊雄小池 隆夫
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2009 年 98 巻 11 号 p. 2879-2881

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抄録

症例は76歳の男性.1995年より関節リウマチ及び関節リウマチに伴う器質化肺炎(BOOP)にて加療中であった.2008年1月に初めて顕微鏡的血尿を指摘され,その後急速な腎機能障害の進行を認め同年6月当科紹介初診となった.潜血の他,蛋白尿も認め急速進行性糸球体腎炎(RPGN)を疑い入院予定とした.しかしBOOPが急速に増悪し,近医にてステロイドの内服加療が開始された.その後徐々に腎機能は改善傾向を示し,入院時には腎機能は改善傾向を示し,尿蛋白の陰性化も認めた.経皮的腎生検を施行し,結果は半月体形成性糸球体腎炎(pauchi-immune type)であった.なおANCAは陰性であった.関節リウマチに関連する腎障害としては薬剤性やアミロイドーシスが有名であるが,腎炎そのものは稀とされる.さらに半月体形成性糸球体腎炎を示す少数の過去の報告例でもp-ANCA関連腎炎が大半を占める.また,BOOPと半月体形成性糸球体腎炎との合併例の報告は未だに無い.本例ではステロイドの加療によりBOOPと腎炎が同時に改善しているなど関節リウマチに伴う合併症を考察する上で稀少で示唆に富む症例と考えここに報告する.

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© 2009 一般社団法人 日本内科学会
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