2010 年 99 巻 1 号 p. 68-70
慢性膵炎患者の生存率は10年後で70%,20年後で45%であり,標準化死亡比(SMR)は3.6である.アルコール性慢性膵炎のSMRは非アルコール性慢性膵炎より高く,飲酒を継続した慢性膵炎患者の生存率は禁酒した慢性膵炎患者より有意に低い.慢性膵炎の死因としては悪性新生物が最も多く,臓器別でみると膵臓,胆道系,肝臓,大腸でSMRが高く,特に膵癌ではSMRが7.33に達する.慢性膵炎は良性疾患であるが,膵癌をはじめとする種々の悪性腫瘍を合併することが多く,予後不良の疾患であることを充分認識する必要がある.