日本内科学会雑誌
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III.自己免疫性膵炎
5.膵外病変とIgG4関連硬化性疾患
神澤 輝実宅間 健介安食 元江川 直人藤原 純子小泉 浩一佐々木 常雄
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2010 年 99 巻 1 号 p. 97-101

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抄録

自己免疫性膵炎は,硬化性胆管炎,硬化性胆嚢炎,硬化性唾液腺炎,硬化性涙腺炎,後腹膜線維症などの多彩な膵外病変を伴う.自己免疫性膵炎に合併する膵外病変の組織像は膵臓と同様にTリンパ球とIgG4陽性形質細胞の密な浸潤を伴う線維化であり,ステロイドが奏功する.また全身諸臓器にはIgG4陽性形質細胞の密な浸潤が認められることより,我々はIgG4関連硬化性疾患という新しい全身疾患の概念を提唱した.線維化と閉塞性静脈炎を生じる膵,胆管,胆嚢,唾液腺,後腹膜などにおいて臨床徴候を呈する.高率にリンパ節腫大を伴い,腫瘤を形成することより,診療当初は悪性腫瘍を疑われることが多いが,無益な外科手術を行わない為にも,本症を念頭におくことが肝要である.

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© 2010 一般社団法人 日本内科学会
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