日本内科学会雑誌
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糖尿病患者の基礎代謝, 特に病種病型との關係に就て
鳥居 忠彦井上 功中井 緑郎藤田 忠正石原 圓造吉村 侃加藤 藤信
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1954 年 43 巻 7 号 p. 528-537

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抄録

文献上糖尿病者のR.Q.に就ては内外諸家の意見に餘り相違を見ないが, G.U.に就ては報告者により甚だしい相違がある. 其處で著者等は42例の糖尿病者のG.U.並にR.Q.を檢測して次の結果を得た.
1) 糖尿病の輕重によつてG.U.上に特異性があるかどうかを見たのに輕重の相違による代謝上の特異性は認める事は出來なかつた.
2) 糖尿病では其病種と病型の相違によつて糖質代謝異常の本質上に相違が見られるのであるから, 各病種と病型の基盤上でG.U.の上に何等か特異性が見出し得るかどうかを見る爲に全檢測例を各病種, 病型に分類して考察した.
a) 膵性糖尿病では無力型に於ては低G.U.者と高R.Q.者が多數で, ケトージス型ではG.U.亢進, 低R.Q.者が多い特性がある外他の病型では特性を認めなかつた.
b) 膵外性糖尿病では正常及び高代謝型が多い
c) 多腺性糖尿病では正常から高, 低代謝者各略々同數で特性を認められなかつたが, 高度な異常代謝者が比較的多數であつた.
3) 22例の糖尿病者のIns.治療前後のG.U.とR.Q.とを比較したのにIns.治療前に異常基礎代謝者であつた者全部 (13例) がIns.治療後正常代謝に復歸した. 正常代謝者9例中6例はIns.治療によつて不變であつたが, 3例は高代謝に赴いた. 又Ins.治療を實施した者の内約60%に於てR.Q.の上昇に向うのを見た.
4) 著者等の檢査成績と外國文献 (Boothby) とを比較すると本成績ではG.U.異常者が多く, 又G.U.亢進者の數が低下者の數に比して比較的多い.

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